突然だったにも関わらず、賢は即答した。
「…チャラい。適当。遅刻魔。やる気ない。以下略」
「うわぁ酷い言われよう。お前に優しさはないのか」
「奈津が聞いてきたんだろ」
そう言われたら言い返せない。
我ながら好かれる気がしない。
歩はこういうのが駄目なのか?
「あークソ!」
考えることがありすぎる。
あの彼氏とはどうなったのかとか、本当に俺みたいな奴が原因で男嫌いになったのかとか。
恋愛ってこんなに頭使うものだったか?
「賢、俺頭痛ぇから次の授業よろしく言っといて!」
長い授業を終えると、俺は真っ直ぐ屋上へ向かった。
本当は鍵が掛かっているはずなんだけど。
俺と同じようなことを考える奴がいるらしく、今は壊れている。
ガチャッとドアノブを回して中に入る。
そよそよと穏やかな風が吹いていた。
目にかかった長い前髪を掻き上げフェンスにもたれかかる。
ズボンのポケットに忍ばせていた煙草を取り出し、口にくわえた。
2、3度溜め息混じりに煙を吐き出した時だった。