「奈津」
「………」
「奈津」
「………」
「聞いてんのかよ」
「あ"!?」
思わずデカい声を出したせいで教室中が静まり返る。
マンガでよくあるような
“し〜ん”…って感じ。
「バカッ叫ぶなよ!」
そういえば、話しかけてきた賢は小声だった。
つまり今は授業中だ。
「なんだよ!? 静かになっちまっただろーが!」
「お前が反応しねーからだよ」
「寝てたんだよ!!」
「ボリューム落とせよ! つーかお前起きてたし」
「うっせーな! 授業真面目に聞いてたんだよ!」
「寝てたって方がよっぽどマシな嘘だよ」
席替えで賢の斜め後ろになったことが災いした。
他の奴らの視線が痛い。
「最近上の空じゃん。また水谷か?」
「は!? ちげーし!!」
「じゃあなんだよ」
言葉に詰まる。
これじゃ図星ですって言ってるようなもんだ。
頭を掻いて、「ちょっと気になってさぁ」と呟いた。
「だから何が…」
「ん〜男嫌いの理由?」
「あぁ…」
「俺ってどんな奴?」