「と、東條くん…?」 「違うか。“誰のこと”言ってんの?」 言い方を少し変えただけで、歩には俺が何を言いたいか分かったらしい。 まるで不意を突かれたとでもいうように、勢いよく保健室を出ていった。 「歩っ…」 後を追おうとするのを引き止め、 「アイツ“俺みたいな奴”で男嫌いになったの?」 顔を青くするさゆちゃんに問い掛けた。 「ごめんなさい…あたしの口からは言えない」 返ってきたのはそんな言葉だった。