「中学からだよ」


「結構長いんだ〜。じゃあアイツが男嫌いな理由知ってる?」




正確にはなんで“俺が”嫌いなのか知りたいとこだけど。



俺の質問に、さゆちゃんは黙ってしまった。



「男は気持ち悪いから」とか、そんな単純なものが返ってくるかと思った。



だから、黙ったまま考え込むようなさゆちゃんを見て、少し違和感を感じた。




「深い理由があんの?」


「えっ…」




さゆちゃんがうわずった声を出した時。




「人のこと詮索して何が楽しいの?」




聞き覚えのある冷たい口調が耳に入った。



…歩だ。



その表情は怒りすら込められていた。




「楽しいってか…気になっただけじゃん」


「気にしてくれなくて結構」


「教えてくれても良くね〜?」


「アンタに教えることなんてない」




間に挟まれた立場のさゆちゃんはオロオロとやりとりを見ていた。




「あたし最初に言ったじゃん!! アンタみたいな奴嫌いだって!」


「……なぁ、誰に向かって言ってんの?」




低い声を出した俺を見て目を剥くさゆちゃん。