飛び上がるようにして起き上がったそいつ。
髪は乱れて酷い有様だった。
「まだ12時前」
「なんだぁ、じゃあ明日学校だし帰ろっかな」
「そっかー気ィ付けてなぁ!」
「うん、またねー」
“今日は遅いし送ってこーか?”
“ありがとう”
…なんて恋人らしい台詞は1つもなく。
暗黙の了解で、言葉を交わすとあっさりと別れた。
こんなことはあっちに気持ちがあったら出来ないことだ。
俺はクローゼットからスウェットを出し、それを持ったまま脱衣所に向かった。
染み付いた甘い香りを消し去るためシャワーを浴びた。
──翌日。
「せんせ〜休ませて」
火曜の1限はここに来るのが日課になってしまっている。
保健の先生は呆れたように笑い、「1時間したら戻りなさい」とだけ言った。
消毒液の匂いがするベッドに体を沈め、軽く息を吐く。
「東條くん、疲れてるのね」
「へ?」
「なんとなくよ」
「マジ!? 保健の先生レベルになるとそんなの分かんの?」
「なんのレベルよ」