綺麗な顔で、よくまぁそんな暴言が吐けるもんだな。
荒々しく出ていった歩の後ろ姿を見送る。
…結構骨が折れそうだ。
「は? お前マジで言ってんの!?」
驚きを含んだ口調の問い掛けに、俺は軽く首を縦に振った。
今は休み時間。
賢が大声を出しても、あまり目立たなかった。
「いや奈津さぁ…」
「俺なんか楽しくなってきて」
「だからって彼氏持ちに手ぇ出すのかよ!?」
納得いかない、って表情を浮かべる賢。
そりゃそうだ。
今まで彼氏持ちには手出さなかったし、そもそも特定の女にこだわるなんて、俺にはありえないことだったんだから。
「なんでそこまで…」
俺は1つ咳払いをすると、ゆっくりと事情を話し始めた。
「いいか賢。俺が思うに、アイツに“今”彼氏はいない!」
「写真のは元彼ってことか?」
「そゆこと」
「つまり未練があるって?」
「ピンポ〜ン。さすが賢ちゃん!」
「じゃあなんで男嫌いなんだよ。彼氏作るなら奈津も大丈夫じゃねぇ?」