「じゃあさっさと返せ!!」
俺が掴んでいた手を振りほどこうとした歩の肩を抱き寄せ、顔を近付ける。
そしてキス出来そうなくらいの距離で囁く。
「…そんなに大事?」
たかが2人で写った写真。
今も付き合っているなら、そこまで必死になることもないはず。
──それに。
「お前…今彼氏いんの?」
最も聞きたかったのはこれだ。
この態度は、今はもう続いていないような感じだった。
歩は質問なんかお構い無しで、密着するのを拒んでいる。
俺の肩に手を置き、一定の距離を保っていた。
「アンタに関係ない…! 早く離れろ!!」
「教えてくれたら返してやるって。これ、お前の男?」
「だったら何!?」
「現在進行形って感じしないんだけど」
口元に笑みを湛え、顎を持ち上げる。
「俺じゃ駄目?」
「意味分かんないし、アンタみたいな奴大っ嫌い」
「…あっそう。ま、いずれ惚れさせてやっから」
俺は口角を上げて不敵に笑い、写真を手渡した。
「死んでも好きになんかならねーよ!!」