今、俺は予想もしていなかった状態に陥っている。
保健室のベッドの上。
といっても、俺は下にいて。
ハタから見れば、襲われているようにも取れるわけだけど。
丁度押し倒されている格好で、俺は目の前にある綺麗な整った顔を見つめる。
白い肌
長い睫毛
形の良いピンクの唇
茶色い瞳
肩まで伸びた、瞳とお揃いの色をした髪が、頬に触れそうなくらい近くにある。
「大胆だなー」
「ふ…ふざけないでっ!!」
「だって歩から襲ってきたんじゃん」
サラリと言うと、俺の上にいる歩は悔しそうに歯軋りをした。
「アンタがそれ…っ」
「返してほしい?」
届かないように手を伸ばし、写真をピラピラ振る。
写真は、昨日歩が落としていった物。
よっぽど大切なら探しに来るだろうと、朝からここで爆睡していた俺。
朝一で来た歩に写真を見せたら、それはもう凄い勢いで突っ掛かってきて。
そのため今こんな状態になっている。
「なんで持ってんのよ!」
「お前が落としたから拾ってやったんじゃん!」