必死になる理由も分からないけど。
かなり不機嫌そうではあるが、戻ってきた歩を見て少しホッとする。
再び椅子に座らせると、俺は全くと言っていいほどしたことがない、手当てというものをした。
とりあえず消毒液を垂らし、その上からガーゼ、テープを貼る。
「やべ。なんかいびつ」
「………」
この最中、ずっと無言で膝を見ている歩。
反応してくれないと手当てした価値ない。
「変だけど。しないよりはマシだろ」
「…どーも」
それじゃ、と言って保健室を出ていく歩。
冷たいっていうか。
なかなか攻略が難しそうだ。
でもここで引くわけにはいかない。
「って言ってもなぁ〜…」
頭を掻いて、再びベッドに横になろうとした時。
足元に“何か”が落ちているのを見つけた。
おもむろにその“何か”を手に取る。
──写真?
それは、歩と…
知らない男が一緒に写っている物だった。
彼氏…だと思った。雰囲気で。
これでもかってくらい、歩の隣にくっついて笑っているそいつ。