机の中に置き忘れた携帯を取りに来たってところか。
「…用がないなら話しかけないで」
「あ?」
「あたし、アンタみたいな男。見ただけで気分悪くなる」
一瞬、奴の言っている意味が理解出来なかった。
自分の思考が働かなくなる。
「──って。お前…!」
「じゃ。さよなら」
歩は強烈な一言をお見舞いした後。
心の底から嫌そうな、俺を軽蔑するような目を向けて、教室を出ていった。
「……何、あの女」
自分1人しかいなくなった空間は、しんと静まり返っていた。
今吐かれた言葉、俺宛てのメッセージだよな?
それを吐いたのは歩、だよな?
「………」
頭が悪いからか。今の俺の状況が理解出来ない。
とりあえず分かることは。
1.歩の印象が180度変わった
2.今の俺、めちゃくちゃかっこ悪い
この2つ!!
「あれ。奈津、こんなとこで何してんだ?」
爆発しそうな怒りを感じている中、空気を読めない奴が1人やってきた。
永井 賢。