「なっちゃーん!」
授業と授業の間の10分休み。
机に顔を伏せ、だらしなく手を垂らしていた時。
甲高い声が頭に響いた。
上体を起こして顔を向ける。
目の前には、ナチュラルメイクではあるがどこか派手な感じがする女がいた。
「なんだよ美紗」
俺の背中に軽く触れ、さりげなくボディータッチするコイツは。
「なぁに、大親友にその態度?」
…なった覚えはないが、いつの間にやら俺は、大親友にされているらしい。
まぁ仲は悪くないけど。
「はいはい、ただのクラスメートさんがなんのご用ですかぁ〜」
「うっわウザー」
こうやって話しかけてくる奴は限られている。
後で面倒だからという理由で同じ学校の女とは遊ばない俺。
それはよく知られていること…らしいけど、物好きも結構いて。
仲良くなってあわよくばそういう関係を、って考えて近寄ってくる奴は多い。
そんな中で普通に…簡単に言えば“友達として”話しかけてくるのは美紗くらいだった。