女に興味ない賢がこんな風に言うくらいだから、相当有名だったに違いない。
どんな理由かは分からないが問題はそれよりも。
「「なんで俺(奈津)が知らねぇんだよ!?」」
さすが幼なじみ。
まるで打ち合わせしたかのように見事に声がハモッた。
「そーだよ、なんで奈津が知らないんだ!?」
「二度ゆーな二度」
「だって好みの女漏らさずチェックしてんだろ」
「それはしてねぇ! 同じ学校は色々厄介だから遊ばねーことにしてんだよ」
「じゃあ知らなくて当然か。水谷は可愛いっていうより綺麗系っぽいよ」
「へ〜…。まぁ、どっちかっつーと俺そっちの方が好みかな」
年下よりタメか年上派だし。
可愛いより綺麗派だし。
「歩、ねぇ〜…」
無意識に名前を口に出していた。
すると賢は眉をひそめ、怪しむような視線を向けた。
「お前まさか…」
ニヤリと口角を上げ、不敵に笑って一言。
「そのまさか」
…決めた。
──ターゲット、水谷 歩。