「...ねぇ。海くん空くん」



さっきまで静かに様子をみていたひなこが口を開く



「さっきのお母さんだよね?

。。。すっごい綺麗な人だね!」





ひなこは、目を輝かせてさっきの女性を褒める



悪意もない純粋な言葉に、さっきまで下を向いていた二人は顔を上げた



「...綺麗な人ね」




悲しげな海の声



「...綺麗なんかじゃない」



憎しみの籠った空の声





深い溝と闇がこの親子には、あることが直ぐにわかった





「空くん、怒ってるの?」




険しい顔の空に少し怯えるひなこ




「...ごめんねひなっち。

怒ってないよ。ただ、動揺しちゃって」



えへへ。

と、おどけてみせる空

だけど、その顔はまだ強張っていた