「…お兄ちゃん」



「香月にお客さんだ。…どうぞ」



誠哉の後ろから姿を見せたのは、昨夜別れた寛之だった。




「香月…」



「もう会わないって言ったでしょう。明日、大事な日だから、帰ってっ」



「突然、どうしたんだよ?」



「香月、どうした?別れたって?」



「お願いっ…もうひとりにして」 



「俺は、香月と別れない。今日は帰るよ」



寛之はそう言い残し、帰って行った。