「…………そういえば…
それ言うために俺の家にまで来たのかよ?
電話とかでよくね?」
俺は不思議に思い、聖司に言うと……
聖司は、少し暗い表情をした
「うーん……まあ、ちょっと…ね?」
「おい、また……」
「うん。やっぱ……
あの家にいるのは、キツイ
早く家出たい」
聖司は、ばい菌扱いしたのにも関わらず
また、赤ん坊の頬で遊び始めた
声や表情は、さっきと比べようのないくらい暗くなっていた
「俺の唯一、休める場所……」
「俺の家は、お前の休息所じゃねぇよ」
「いやー、やっと俺の癒しを見つけた感じだよ
ゴミ箱の中に花が咲いたって感じ」
「おい、そのゴミ箱は俺の家のことか」
聖司は、俺の言葉にクスッと笑いながら
赤ん坊の頭を優しく撫でていた
いつも学校で見る聖司とは全く違う
聖司が俺の家で赤ん坊を優しく見つめていた
「泊まって行くか…?」
「いやいや、それは悪いよ
豊と愛音ちゃんの邪魔出来ないし」
聖司は、苦笑いしてそう言ったが……
どこからか大きなカバンを出してきた
「お前、泊まる気マンマンじゃねぇか」
「いやー、悪いねー
ゴメンねー?」
「はぁ………」
まあ、いいや……
コイツの家の事情は知ってるし
泊めてやるくらい
「ただし、俺と愛音の邪魔はすんなよ?」
「分かってるってー
俺は、そんな野暮なことしないよー
この子と一緒に、豊の部屋を静かに覗いておくから」
「お前、邪魔する気マンマンじゃねぇか!!」
勘弁しろよ……
俺の癒しの時間まで取るつもりかよ……
まあいい……
もう疲れた……寝る…
俺は、聖司に背を向けて
愛音が眠る寝室に向かって足を進め
愛音の隣で眠った