「萌!!起きろ!!今日は美術が有るって昨日張り切ってただろ?」



「んー…にぃにおはよー…」


「ほらッ制服机の上に出してるから!!!カバンは用意したよな?早く降りてこいよ―」



あたしは起きてにぃにが用意してくれた制服を着て下に降りた。



「パパママおはよーッ!!!」


あたしはソファーに座って新聞を呼んでるパパに後ろから抱きついた。



「パパ今日は遅くなる?」


「んー…ならべく早く帰ってくるよ」


パパはそう言ってにっこり笑った。


きゅーん!!!やっぱりパパカッコいい―!!!



「萌―!!!それはママのセリフよ―!!!萌は夏樹(にぃに)で我慢しなさいッ!!!」



「萌,おいで。」



きゅーん


「にぃに好き!!!」



「ははは」



これが我が市原家の朝の日常。




*




ご飯を食べて歯磨きをして顔を洗って二階にあがってコテで髪を巻こうとするんだけどうまくできない。



「うえーん!!!まだメイクしてないのにぃ―」



コンコン


「はーい」



「あ,にぃに!!!」


「まだ化粧してないんだろ?ほら,髪は兄ちゃんがやってやるから。」



うるうる



「にぃにー!!!ありがとー!!!」



あたしがなれない手つきで化粧している間ににぃには手慣れた手つきで髪を巻いていく。


「にぃにはやっぱりうまいなぁ―」


「そりゃ,毎日だしね。」



「うう…ごめんなさーい。」


「はは。いいんだよ。萌は萌ができることを精一杯やればいんだ。」



やっぱりにぃには優しい―!!!



*




「さて。そろそろ出るか。」


「うん!!」



にぃには県内1の進学校のA高に通ってる。


あたしもにぃにと一緒にA高行きたかったんだけどバカだから普通のS高に通ってる。



A高とS高は結構遠いんだけどにぃには心配だからって毎朝あたしをS高まで送ってからA高に行ってくれてる。


帰りはにぃには生徒会とか部活とかで忙しいから帰ってにぃにがいなかったら必ずメールするように言われてる。



心配性のにぃにだけどにぃに大好き!!!



*



――――


「じゃぁかえったらちゃんとメールしろよ?」


「うん!!!わかった☆」



そういってにぃにと校門前で別れた。



*



「巧,おはよ。」



「はよ。」



「愛しの市原さんは見れた?」



「ッ///」




「巧は市原さんの事になるとなんつーかヘタレだよなー」



「うっせーな//ほっとけよ!!!」




*




好きな人は,いる。





ただし,彼氏持ちで。




市原萌璃ちゃん。
同じS高で同じく高1。
黒目がちな大きな目にプルップルの小さな唇に小さな顔で栗色のふわふわの髪の毛,白い肌。
ちっこくて華奢でかなりかわいくて…


市原さんの彼氏
名前…知らない。
A高。
学年…知らない。
背かなり高い。
カッコいい。



…ぜってーかなわねぇ!!!



*