「亜由、起きて」



亜由を揺さぶると



「ん~」



って言いながら目をトロンとさせてオレを見る。



「起きた?」


「へへへ~」


「亜由?」


「夢に冬が出て来たぁ♪」



夢?


いや、夢じゃないけど。



「あたし、冬に嫌われてるのかなぁ」



さっきまで笑顔だったのが、急に泣きそうな顔になる。



「あたしね、冬が好きなの。

昔からずっとずっと冬が好きなの。

でも言えなくて、だから色んな人と付き合ってみたの。

けどね。

そんなの無駄だった。

あたしの心には冬しかいないの。

冬が好きなの……!」



…あ………ゆ……?


こんなにも“女”の顔してる亜由なんて初めて見た。


それはそれだけ本気ってこと?


オレは……。


オレは――…?