「あぁ、冬季くん。
急だったからびっくりしちゃったわ」
「ごめん」
「いいのよ、少しびっくりしただけだから」
「あ、亜由まだ帰って来てないの?」
「そうなのよ~
ちょっと遅いからさすがに心配でね?」
ちょっとっていうよりも、大分心配してる。
亜由んとこ上も下も男だからな。
女である亜由はおばさんにとって心配なんだろうな。
「オレ探してくるからおばさん家いて」
「どこにいるかわかるの?」
「多分。
見つけたら家に電話いれるから」
「ありがとう、冬季くん」
おばさんに軽く頭を下げて、今日帰ってきた道を再び戻る。
…………寒い。
学校から帰ってきたときは日が出てたし、さっきまでおばさんといたからそんなに感じなかったけど、寒い。
寒さってのは1人になると増す気がする。
まったく……
こんな寒い中亜由は何してんだよ。
家から学校までは歩いて25分くらい。
自転車通学出来ればいいけどオレらのとこはギリギリ徒歩通圏内なんだよな。