「ただいまー」
この声は春姉だ。
リビングのドアが開いたと同時にオレと秋姉の声がハモる。
「「おかえり」」
「ふふふ♪ ただいまぁ」
「お姉ちゃん楽しそうだね?」
「だって2人とも綺麗にハモってるんだもん。
息ピッタリ」
まぁ兄弟だしね?
多少息ピッタリにもなるよ。
「そう言えば冬季。
亜由ちゃん見た?」
「なんで?」
「亜由ちゃんのママが
“まだ亜由、帰って来てないのよー”
って言ってちょっと近くまで見に行ったみたいなの。
だから冬季亜由ちゃんのこと見てないかなって思って」
もしかして……。
家の時計を見るともう18時30分を回って、もうすぐ19時00分になりそうってところだ。
「オレちょっと行ってくる」
「心当たりあるの?
私も行こうか?」
「春姉は夕飯作ってて。
夏兄もうすぐ帰ってくるし。
オレもすぐ帰ってくるから」
携帯と、上着を羽織って外に出ると亜由のお母さんが見えた。
「おばさん」
近づいて話しかけるとびっくりしてオレを見る。