「私にはNOと言えないんでしょう?」

「そう言うことだ。その代わり君の生活の保証はする」

「それで、どんな恋人になれば良いの?」

「食事を一緒に取るし週末は必ず一緒に俺のマンションで過ごす。パーティーへも同伴してもらう」


それを愛人と言わず何と言うべきか。最初から期間限定と分かっていれば二度と尊に惹かれることはない。

取引にしたがって愛人を演じれば良いだけのこと。


「パーティードレスも宝石も持っていないわ。それはあなたが用意してくれるのでしょう?」


これ以上の侮辱には耐えられない。胸が張り裂けそうなほどに心が痛め付けられた。

なのに、尊は、

またこの女は俺にお金を要求しようと言うのか?と、私を憎み蔑む目で見つめていた。


「安心しろ、必要なものは全て俺が提供する。けれど、それらは君の物ではない。俺は、俺の人生と共にする唯一の女にしか与えない。君はあくまでも期間限定の女だ」


「くだらない説明は私には関係ないわ。この取引は明日から有効だと思っていて良いのね」

「ああ、それでいい」

「ならば、今日はあなたの力は及ばないわ。帰ってくれる?」


結局、また、尊を追い返した。

けれど、今回は前とは明らかに違う。