体内時計と言うか頭脳時計とでも言うべきか、出来るだけ早めに帰宅したくて時計をしっかり働かせていたお蔭で帰宅時間は何とか終電に間に合った。

森田さんとの会話が思ったより楽しくてお喋りに夢中になっていたらいつの間にか終電一本前になっていた。

私の体内時計はあまり当てにならないようだ。

寝る前に仏壇に手を合わせてしっかり美香に報告した。


「今夜はご免なさいね。ママね新しい職場の上司と親睦会を兼ねたお好み焼き会をしてたのよ。上司は森田さんって言うんだけど、仕事では厳しいけどとても優しい人なんだよ。だから安心して」


今日も一日神経擦り減らしてしまって疲れた。だから、お風呂にも入らずお化粧も落とさずそのまま美香の仏壇の前に布団を引きずってきては寝転んだ。


「美香と一緒に寝るのが一番幸せだよ、ママは。おやすみ……」


かなり気疲れしてるのは自分でも感じている。体が重くて歩く足取りも重々しい。

だから、こんな調子で3ケ月間の契約が無事終われるのかがとても心配だ。


神経擦り減らして心配している割には嘘の様によく眠れている。森田さんとの食事が終わり帰宅したら友美に連絡するはずの約束をすっかり忘れていた私はそのまま眠っていた。

友美からの電話が何度もかかってきていることに気付かずに。


私が友美との約束を思い出したのは翌朝シャワーを浴びてお化粧をした後だった。