「麻希、掃除機かけたいからちょっと退いてくれる」

「はーい」


母のその声にだらだらとソファーから身体を起こす。と、少し眉間に皺を寄せた母の顔が私へと向けられた。


「今日も出掛けないの?」

「うん」

「さっきお隣さんから今日は隣町の夏祭りだって聞いたけど、友達と行かないの?」


母親としては、家の中でずっとだらだらとしている娘をみかねての言葉なのだろう。



ちょっとは外に出ろ!…みたいな。

でも残念。流石に夏祭りは行こうかなって思ってたけど、誘った相手にふられたんだな、これが。



「鈴菜が今日は雨で中止になると思うし行かないって言われた」

「ああ。確かに天気予報で夕方から大雨ってなってたかも。今はこんなに晴れてるのにね」

「ほんとにね」


そう言うとその場に立ち上がり、2階の自分の部屋へと歩を進めた。


 そのまま自分の部屋でごろころとしながら漫画を読む。そして昼ごはんを食べてからもごろごろを続けていた時、1階から私の名前を呼ぶ母の声が響いた。