「まっ、俺はあの二人の幼馴染みだから、お前があの二人を別れさせようとかするんだったら許さないけどな」

「そんなことしませんよ！」



あんな素敵な二人にそんなこと絶対にしない。

それは誓って言える。

だって、私は仁先輩が好きだから。仁先輩の悲しむ事をするわけない。

けど、…………中畑先輩が言うように、この気持ちはまだ消さなくてもいいのかもしれない。

だって結局、消そうと思って消えるものじゃないんだから。

きっとこの気持ちは、私が口にしない限り誰も気にも留めない。仁先輩を悲しませる事もない。



私が仁先輩を好きだっていうこの気持ちは。



「中畑先輩。……もう少しだけ仁先輩の事、……見させて下さい」

「おう」


　中畑先輩の許可が必要だったわけじゃない。だけど、そう言って貰えただけでスーっと気持ちが軽くなる。


自分の気持ちを肯定してくれる人がいるって思うだけで、悩んでいた事もバカらしく思えてくるから不思議だ。



例え彼女がいても私は仁先輩が好きだ。



だから、この気持ちが風化するまで。

忘れる時がくるまで。

あと少しだけ。

仁先輩を見ていようと思う。