私がそれ以上何も言えないのを良いことに、結局その場は中畑先輩の奢りになってしまったわけだが。


なんだか釈然としない。


結果、ホテルから外に出た瞬間中畑先輩に近付くと、中畑先輩のズボンのポケットにさっきのケーキバイキングのお金を強引に押し込んだ。


突然の事に呆然とする中畑先輩を前に苦笑いを漏らす。


そして、

「私も楽しかったので、やっぱり払います」

そう言葉を付け足した。


 私のその言葉に、中畑先輩がプイッと顔を逸らして「あっそ」と言ったその時、彼の耳が赤味を帯びている事に少しだけ首を傾げる。


「耳、赤いですよ?」

「暑いんだよ!」

「あー、確かにもう夏ですね」


ジリジリと照りつける太陽。額からうっすらと滲み出る汗。



ほんと、あと少しで夏休みだ。