そして、携帯の画面に映し出されている今朝撮ったばかりの仁先輩の写真を、グイッと私の目の前に突き付けた。
「で、私の挨拶が聞こえない位夢中になってたのはこれ?」
「うん。夢中になり過ぎてたみたい」
「だね」
鈴菜は私が仁先輩に夢中なのを知っている。というか、私の視線はいつも仁先輩の姿を探していて、端から見ただけで仁先輩に夢中なんだとバレバレらしい。
「それにしても、ガッツリ隠し撮りね」
「でしょ!この角度とか綺麗に撮れたと思うんだよね!」
自分でもそう思ってるものを更に褒められた事で、自慢気にそう言って鼻をフフンっと鳴らすと、鈴菜から呆れた様なため息が聞こえてきた。
「いや、褒めてないし」
「えっ、何で?」
「普通に考えて、隠し撮りを褒めるのは駄目でしょ」
「あー、そっか」
そりゃ、そうだ。
隠し撮りは、良い行いなんかじゃない。
ってのは分かってても、……止められないっていう。
何度目かのこの結論に辿り着くと、苦笑いを漏らした。