「えっと、……本気で、……言ってるわよね」

「勿論!本気に決まってんでしょうが!鈴菜は中畑先輩は優しいとか言ってたけど、その情報、誤情報だから!全然優しくない!」


 仁先輩にストーカーとバラされてしまったからには、これからもずっと仁先輩に接触出来なくなったっていうのに。


それなのに、唯一の楽しみのこっそり写真撮影会まで台無しにするなんて。


中畑先輩は、優しさという文字からかけ離れてる。


「いや、中畑先輩は誰にでも優しく接してくれるし、男女問わず人気者よ。寧ろそんな中畑先輩に麻希が何でこんな毛嫌いされたかの方が気になるけど」

「そっ、それは……」


 誰にでも優しい王子様。その王子様に毛嫌いされる理由。


そんなものない!とは言えない自分が若干情けない。


「何かしたんでしょ?」

「中畑先輩には何もしてないし」

「ふーん。じゃ、誰に何したの?」

「それは、……仁先輩をずっと見ていたくて」

「で?」


 鈴菜の追究が止むことはなくて、きっと彼女は私が答えるまで永遠と訊き続けるつもりなのだろう。