「鬼が邪魔するんです」


 ポツリと漏れた私の言葉に、鈴菜が驚きながらも携帯に写し出されている写真と私の顔を交互に見やる。


「まさか、……鬼って中畑先輩?」


私にとったら、『そういえばそんな名前で呼ばれてましたね』だ。


名前を呼ぶのすらムカつく。


「鬼です。鬼が私が仁先輩を撮ろうとしていると、仁先輩を自分の陰に隠すんです。そして、あろうことか、こんな憎たらしい表情をするんです!」


 ガタッと椅子を揺らし勢いよく立ち上がると、鈴菜の手にある携帯を覗き、苛立ちをぶつける様に画面をスライドさせていく。


その度にアップで現れる中畑先輩の顔。


しかも、その全てが人を小馬鹿にしたように笑っている顔や、私の苛立ちを助長させる為にしているかの様な白目の変顔。


更には、あっかんべーをした顔っていう。私への悪意が半端ない。