ギュッと両手を握り締めると、私の中にある精一杯の勇気を振り絞って、隠れていた電信柱からスッ道路へと一歩出る。そして、前を歩いている中畑先輩を呼び止め様と口を開こうとした。
その時、ピタッ…と中畑先輩が足を止めた。
思いもよらない突然の事態に固まってしまう。道路で固まったままの私と歩くのを止めた中畑先輩。そのまま数秒経過した時、ゆっくりと中畑先輩のが後ろを振り向いた。
そして、まるでスローモーションかの様にゆっくりと時を刻む世界。
そんな中、カチッとパズルのピースがはまる様に目が合ったと思ったら、中畑先輩が妖艶な笑みを携えた唇を動かした。
「今度は誰のストーカーしてんの?」
ドクンッ!!
心臓が跳ね上がる。
「えっ、……えと。……その」
突然過ぎて、言葉が上手く口から出てくれない。それを分かってか、中畑先輩は意地悪にニヤッと笑うとまた私を追い込む言葉を吐いた。
「俺のストーカーしてんの?」
唇をグッと噛み締め、『違いますよっ!ストーカーじゃないですよっ!』と言いそうになる口を押さえ込む。