中畑先輩が気になって、気になって。気付いたら、そっと後をつけていた。


ストーカーと言われ、引くとまで言われた事があるのに、同じことをしてしまった自分が正直情けない。だが、それ以上に中畑先輩の目に少しでもいいから映りたかった。


 こそこそと隠れながらだからか、中畑先輩は私が後をつけている事にまだ気付いていない。


いつもよりゆっくりと歩く中畑先輩は、たまに空を見上げて星を見る。私はそんな後ろ姿をただただ見ているだけ。


 中畑先輩はクラスメートとのカラオケが終わって帰っている最中で。一人で帰っているらしい中畑先輩の周りには当然もう誰も居ない。


学校を飛び出した時、中畑先輩と話したいって思ってたくせに。中畑先輩の瞳に映りたいって思ってたくせに。


なのにタイミングが掴めなくて、未だに後をつけるだけ。


 徐々に中畑先輩の家が近付いてくるのが分かる。中畑先輩が家に入ったらもう終わり。それも分かってる。


分かってる癖に後一歩の勇気が出ない。



声、掛けなきゃ。

名前、呼ばなきゃ。

行動を起こさないと何も起きないって何度も思い知らされたんだから。