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二年の教室が並ぶ廊下に足を踏み入れるのは、只でさえ気が重い。それでも今日やらなかったら、きっとずっとやらないと自分で分かっているからこそ歩を進める。
あと一段の階段を上りきれば、二年の教室が目に入る。
そして、タンッ…と最後の階段を蹴った音が響いたと共に一瞬にして目を奪われた。
教室から廊下に出た所であろう中畑先輩がそこには居て。久しぶりにじっくりとその姿を見た。
カァっと熱くなる顔。押し寄せてくる逃げたくなる気持ち。
それでもこのチャンスを逃せない。
そう思うと、鈴菜からのお守りをギュッと握り締め、意を決して中畑先輩を呼ぶ為に口を開いた。
だが、「なっ……」と声を出した所で慌てて口を閉じる。
丁度、教室から出てきたクラスメートだろう男子が中畑先輩に話し掛けたのだ。
「祐!今日は絶対参加だかんな!」
「分かってるって」
ニカニカと楽しそうに笑う男子に苦笑する中畑先輩。
どうやら今日は約束があるらしい。