「もう、最悪」


そう一人で呟くと、机に顔を突っ伏した。


 ちゅん、ちゅんと聞こえてくる小鳥の囀ずりさえも今日の朝の苛立ちを助長させる。


そんな時、「おはよ」という鈴菜の声が真横から響いた。それに反応して、突っ伏していた顔を上げる。


「おはよー」


挨拶に挨拶を返す。朝の光景としてはごく普通の光景。だが、それに鈴菜が驚いた様に目を丸くした。


「今日は珍しく返事がきた」


 確かに、いつもこの時間は朝撮った仁先輩の写真を見つめているからか、返事を直ぐにしない。


というか、鈴菜の『おはよ』に気付いていないわけだけど。


「あー、だね」


苦笑してそう答えれば、机に投げ出された様に置かれている私のスマホを人差し指でトンッと軽く叩く鈴菜。


「今日は良い写真撮れなかったの?」

「うん」

「麻希にしては珍しいね。いっつもベストショットではないにしろ1枚はお気に入りの写真撮ってたのに。盗撮だけど」

「そうだよね。うん。……ほんと、……最悪」


再び朝の出来事を思い出すと、ガックリと肩を落としズルズルと机へと顔を寄せていく。