そう思いながらも再び中畑先輩の写真を見ようと指を画面の上に伸ばしたその時、聞き慣れと声と共に、後ろからぽんっと肩を叩かれた。


「はよっ!」


 勢いよく振り返れば、今しがた写真で見ようとしていた顔が間近に迫っていて、一気に顔が熱くなる。


「な、中畑先輩!お、おおおおおは、おは、おはおは」

「おは?」


 好きなのだと気付いてから中畑先輩の顔を間近で見ると、ドキドキし過ぎで頭が真っ白になって『おはよう』すら言えなくなる。


そんな私の気持ちなんて知らない中畑先輩は、不思議そうな顔をして首を傾げたまま。


だが少しすると、中畑先輩の視線が私の手の中にある携帯に向けられた。と思ったら、大きなため息を吐かれる。


「また、仁ね」

「うおっ!こ、こここここれは」


 中畑先輩の視線を辿って自分のスマホへ目を向ければ、そこには仁先輩の写真が画面に映し出されていて。慌てて携帯を鞄に突っ込むが、中畑先輩からは再びため息が漏れる。


そして、

「なあ、……どうやったら俺を見てくれんの?」

そう少し掠れた声で問い掛けられた。