学校に向かう道すがら、携帯に映し出された写真に目を落とすと、一際大きなため息を吐いた。
どうやら私は、恋をすると相手の写真を永遠と見続ける習性があるらしい。
写真の中の彼は、あっかんべーをしていて普段のイケメンっぷりは余り感じられない。それでもその写真に映る彼を、悔しいかな、格好いいと思ってしまって目を離せないのだ。
ついこの間までは、鬱陶しい程ムカつく相手だった筈なのに。
「中畑先輩の事、好きになるなんて……」
そう一人呟くと再びため息を吐き、スッと人差し指をスライドさせた。
さっきまでの中畑先輩の顔がから、仁先輩の顔へと移り変わる画面。仁先輩の写真をを見て思うのは、やっぱり格好いい…というもの。それと、もう写真を見てもドキドキしないというものだ。
逆に中畑先輩の以前は腹が立って仕方なかった写真にドキドキする。
「中畑先輩は、……ダメだろ、私」
次は幸せになれる恋がしたいって思ってたのに。
中畑先輩は学校の王子様で、中畑先輩を好きな女子は凄く多くて。そんな中で私の想いが届く確率は微々たるもの。いや、微々もないかも。
このままじゃ幸せになれる恋が、……遠過ぎる。