そんな私を気遣ってか、「帰るか!」という中畑先輩の言葉に首を縦に振ると、そそくさと片付けを始めた。
片付けが終わると、帰る為に再び中畑先輩の自転車の後ろに乗る事になる。
が、今回は何を言われるでもなく、前に座っている中畑先輩の腰にスッと両手を回した。
「えっ、腰?」
「何か?」
私の行動に驚く中畑先輩に、何も変な事なんてしてませんけど…的に言い返すが、内心は心臓が信じられない位速さで脈打っている。
ほんとは、恥ずかしい。
でも、……恥ずかしい以上に、何だか中畑先輩にくっつきたくなってしまったんだ。
「いや。しっかりつかまっとけよ」
進み出した自転車の後ろで「分かってますよーだ!」と大声を上げたのは、自分のこの気持ちが中畑先輩にバレてしまわない様に…という見栄。
それでも、そんな見栄なんて余り意味がない位の心拍数とギューっと痛くなる胸。それをどうすることも出来なくて、ギュッと目を瞑った。
中畑先輩の体温が手に伝わる。
それだけで、こんなにもドキドキするなんて……。
しかも私はこの胸の痛さを知ってる。
ああ。もう。
…………こんなのイケメンだから…とかじゃ済ませないじゃん。
これは、…………恋だ。