「ハハッ。何ですか、それ」

「魔法使い的な感じ」

「執事じゃないんだ」

「うーん。魔法使いで」


 凄い適当な感じだが、一応中畑先輩の中では『魔法使い』なのだろう。


そんな中畑先輩に触発されて中畑先輩の前で両手の指を組んで合わせると、ニカッと笑ってお願いを口にした。


「じゃあ、お願いします。魔法使いさん。来年もここで、中畑先輩と二人で手持ち花火が出来ますように」

「なっ……」


私のお願いを聞いた瞬間、中畑先輩の目が見開かれる。と、共に両手で顔を覆った。


「中畑先輩!?」


 中畑先輩の突然のその行動に私が目を丸くしていると、そっと顔を覆っていた手が外されていく。


そして恐る恐るという感じで、

「それ、本気で言ってる?」

そう訊いてくる中畑先輩。


 今の数秒の間に中畑先輩の中で何が起こっていたのかは全く分からない。だが、その質問の答えは決まっていて。


ニッと両方の口角を上げた。