あっという間に過ぎ去った夏休み。
夏休みが終わって1週間が経つが、まだ気温は30度を越える日々が続いている。その為、学校への登下校は地獄の時間だ。
「あー、もう授業終わっちゃったよ。この暑い中、外に出たくなーい!」
机の上に突っ伏すと、鞄を手に持ってやって来た鈴菜が呆れた様に溜め息を吐いた。
「何言ってんだか。テストも終わった事だし、どうせ図書室に行くんでしょ」
そう。
鈴菜の言う通り一学期なら間違いなくそうしてた。
けど、二学期になった今は状況がちょっと違う。
「うーん。……今日も止めとこうかと考え中」
「えっ、何で?」
「だって、……行ってももう仁先輩は見ないかなって」
仁先輩への恋心は夏休みのあの日を境に徐々に消えていったらしく、今は一学期の朝の恒例だった写メも撮ってない。
かと言って胸にポッカリ穴が開いたという感じでもないのが、きっと次へと一歩を踏み出したとい事になるのだろう。