彼女は、よく夜空を見上げる。 僕の部屋の小さな窓から。 ただ、静かに見つめる彼女の横顔を、この時だけ、僕は独り占めにして。だから、僕はこの時間が堪らなく幸せなのだ。 「...風邪引くよ」 そう言って、彼女の肩にそっとタオルケットを掛ければ、視線を僕へと落とし、 「ありがとう」 と、隣に座った僕に、彼女は柔らかく笑う。 この笑顔も、今だけは僕だけのもので。 僕の心のどこかが、甘く疼いた。