大学は、3年目にして辞めた。
渚にはまだ伝えていない。
なんとなく、めんどくさい。
週3日はコンビニでバイト、
土日は理子さんのお店で働く。
復帰してから早2週間。
練にはまだ会ってない。
「理子さん、これ持って帰っていいですか?」
「うん、どうぞ」
「お疲れさまでした」
紙袋に大福を入れて、お店を出る。
家は引っ越した。
帰れば楽しい、嬉しい思い出が
あるはずの自宅は、
思い出したくない過去を思い出させる。
明後日は誕生日だ。
雪が降りそうな空。
どこからか聞こえてくるジングルベル。
赤信号で空を見上げる。
口から白い息が現れて、
真っ暗な空に溶けていく。
大福が入った紙袋を握りしめる。
向かう先は練の家。