「なに、今日も会えなかったん」
こたつの上でプレートを広げて、
餃子を焼いていた翔太が声をかける。
「この前ちらっと見ただけだけど、元気そうだったよ。俺の先輩と仲良くなってた」
ピクッと練が動く。
冗談。
たしかにはるかは先輩と
仲良くなってたけど
その先輩は来年定年。
好きな食べ物はみかんと湯豆腐。
休みの日は股引をはいて農作業してそうな
警察官には見えないおじいさんだ。
「もっと早く動けなかったのかなって思うんだよね」
「んー?」
「菊原さんが家に帰るって言った時になんとか止める方法はあったと思うんだよね。俺が止めれたらこんなことにはならなかったんじゃないかな」
「んー」
「俺のせいで」
「まあ、そりゃ結果論っしょ」
翔太はチンジャオロースをつつきながら
日本酒をちびちび飲む。
「途中経過がよくなかったとしても、最後がいいんだから、練は何も間違ってなかったんだよ」
だから、大丈夫。
翔太はそう言って笑うと、
最後の一口を飲み干し、横になった。