本当に辛そうな声で、
聞こえないぐらいの大きさで、
「ごめんなさい」と言う。
ううん、
理子は残りのりんごを口に放り込んだ。
病室の前で、じっと待つ。
待っててと言われたわけではないが、
はるかがどんな感じなのか知りたかった。
ガラリとドアが開いて、理子が出てきた。
練は立ち上がる。
「りんご、美味しそうに食べてたわ」
理子がそう言うと、
心底安心したような表情を浮かべた。
「あと、ごめんなさいだって。はるかちゃん、あなたにすごい会いたがってると思う。でも、まだ、あなたに会う心の準備が出来てないのよ。顔にもまだ傷あるしね」
練は無言で頷いた。
「お腹空かない?どっか食べいこっか」
理子はそう言って練の背中をばしっと叩いた。