「聞いたよ、練」

鍋を3人で囲んでいると翔太が口を開いた。

練は翔太の方をちらりと見ながら

牛肉と格闘する。

はるかからもらった水を一口飲んで、

なにが?と素っ気なく返す。


「お前、中絶しろって言ったんだってな」

器官に入ったらしい水を咳をして吐き出した。

「俺は見損なったよ。はるかちゃんポン酢とって」

練の背中をさすりながら、

はるかは翔太にポン酢を手渡した。


もう大丈夫、とはるかを手で制すると、

練は翔太に向き合った。

「なんてね、」

練が話し出す前に翔太はそう言って笑った

「わかってるよ、練はそういうことはしない、したとしても、ちゃんと責任とる。でもね…」

箸を持ち直した練の手が止まる。

「成美、まだ練のこと好きみたいだよ」


うわ、このネギうま!

練の箸が止まっていることに気付かず、

翔太はどんどんと箸を進める。



これなに?少し焼いたの?へぇーうまい


翔太だけ、楽しそうだった。