市内の中央に流れている大きな川がある。
新川。
その川の橋の側に立っているのと、
その地名をとって新川橋交番と呼ばれる。
ここが翔太の仕事場だ。
伊崎の奥さんがくれたマカロンの
封を開ける。
隣には温かいお茶。
これ以上の至福の時はない。
伊崎は警察署に呼ばれて今はいない。
先輩の分は残すはずがない。
「あ」
マカロンを手にした時、
窓ごラスの向こうから女性が
こちらを見ているのに気がついた。
成美だ。
成美は、翔太と目が合うと
気まずそうに目をそらして離れた。
「成美ちゃん、久しぶり」
翔太はがらりとガラス戸を開け、
顔を出す。
「あ、マカロンたべる?」