するするする…と、
はるかはふすまを開けて顔を出す。
「あのう」
と、はるかが声をかけると、
「なに?!」と成美がこっちを睨む。
「検査したんですか?」
はるかの一言で、成美は大人しくなった。
「練お願い、わたしあなたのことを忘れられないの」
成美が練の腕をつかんで縋るように見る。
「ごめん、でももし本当に妊娠してるかもしれないから、一緒に行くから病院今から行こう」
練はその手を掴んで離しながら、
立ち上がろうとする。
でも成美はそのまま座り込んでいて、
はるかの方を強く鋭く睨むと同時に
指先にあったボックスティッシュを
はるかに投げつける。
ボックスティッシュは、
見事に当たらず
床に転がる。
「成美!」
練がそう叫んだ時は、
成美はもう玄関のほうまで走っていた。