ぽつりぽつりと、話してくれた。
泣きそうな顔を浮かべながら
言葉をひとつひとつ選ぶように
ゆっくりとゆっくりと
最後まで話してくれて、
でもなんて声をかけていいかわからなくて
とりあえず
「そう…」
と声をかけるしかなかった自分が情けなくて
目の前の小さい身体で
背負ってきたものは想像を遥かに超えていて
「検査は?したの?」
はるかは俯きながらふるふると頭を横に振った。
理子は急に立ち上がって、表にでる。
買いに来てくれるお客さんがいないことを
確かめると、
まだ閉店前なのに「準備中」の札をだした。
無言のままお茶を入れてくれる。
ショーケースから1口羊羹を出して、
はるかの前に置いた。
それ以外何をしたらいいのかわからなかった。
なんて声をかけていいのかもわからなかった。
泣くまいと、
はるかは膝の上で拳を握りしめた。