「あ、あった…あった!あったあった!」


はるかが見つけたのはそれから5分くらい

経った後で。

練は車の鍵を持って2人で家を出る。


初めて乗る練の車は型落ちの国産高級車。

「軽は疲れるから」

と本人は笑う。



ハンドルを握る姿は、

普段見る顔の二割増しに輝いて見えた。


居心地が悪いようないいような、

そわそわして、はるかは窓の外を見る。



いつの間にか駅前だった。

8時。いつも同じ電車に乗る見慣れた顔が

ちらほらと改札を通っていくのが見えた。


「ありがとうございます、間に合いました」

はるかはお礼を言って

シートベルトを外す。


「今日は何時頃になりそうですか?」

「バイトがあるので、10時くらい」

「わかりました」


はるかは大福貰えたら貰ってきます、

と最後につけ足して車を降りた。