携帯を充電器から外して
ジーンズの尻ポケットに突っ込む。
トースターから熱々の食パンを出し、
バターを塗り、その上に柚子ジャム。
あぁ~まずいまずい、電車乗り遅れる!
はるかはそう言いながら、
新聞を片手に優雅にコーヒーをすする
練の側を動き回る。
「駅まで送りますよ?」
練は腰を上げつつ言う。
はるかは立ち止まって振り向いた。
「…本当ですか?」
「ここからどのくらいですか?」
「10分もあれば」
「定期を探してください、一緒に!」
あっ、はい、と練は残りのコーヒーを
飲み干すとすぐに探し始める。
「色は黒で」
「黒ね」
「黒だけ、とにかく黒!」
うわぁ、すごいアバウト
練は葉を食いしばって笑いをこらえた。