巡回パトロールから戻って、
翔太は自転車を降りた。
中に入って先輩警官にお茶を入れる。
「なあ、今泉。見てよ。昨日1歳になったの」
八嶋さんはそう言って携帯の画面を見せてくる。
「へぇ~おめでとうございます。優里ちゃん」
あちち、とお茶を運ぶ。
「かわいいんだぁ、これが。俺に似て」
どこが似てるんですか。
冷たく、そうあしらっていると、
1人の男性が入ってきた。
「こんにちは」
翔太があいさつすると、
その人はぺこりと頭を下げてから
ポケットから写真を出してきた。
若い女性。
「娘をさがしてほしいんです。名前は…」
名前は聞かなくてもわかった。
スーツを着て微笑んでいる女性。
それは紛れもなく、昨日練の家にいた
菊原はるかだった。