次の日学校を休んだ。
バイトはない。
練は、配達業者で働いているらしい。
制服の上からパーカーを羽織った。
「わたしを泥棒だと思わないんですか?」
灰色のプルオーバーを貸してもらった。
長い袖をまくらないではるかが玄関で
スニーカーをはいている練に静かに聞く。
「泥棒ならもうここにはいないはずです」
そういってリュックを背負った。
「なにか食べたいものはありますか?帰りに買ってきます」
「オムライス」
練はにっこり微笑むと、行ってきますといってドアを開けた。
はるかの手にはさっき預かった鍵が握られていた。
誰もいなくなったキッチンで、
牛乳を温める。
袖が邪魔だ。
でも、まくりたくなかった。
朝から何も思い出したくない。
甘い香りがして、マグカップを探す。
「あ…」
赤と青の色違いの水玉模様のマグカップが
置かれていた。
なんとなく気後れして、
はるかはガラスのコップに暖かい牛乳を
注いだ。
食べていいですよ、
と言われたクッキーを手に取る。
テレビをつけると朝のニュース。
こたつの暖かさが心地よかった。