「はるかーごめん、今授業終わってさ」
ううん、と言いながらはるかは渚に水が入ったコップを差し出した。
「食券買った?」
渚はマフラーを椅子にかけながら聞く。
「ううん、まだ。行こう」
荷物からお財布を出して、渚の準備が整ったのを見計らって立ち上がった。
「さっき、なんの授業だったの?」
「哲学。その先生がさー、すごい面白いの。パンチパーマなんだけど、地毛ですって言い張るの」
渚はよくしゃべる。
あまり話したくない時とか
考え事をしている時は、
たまにいらっとする時があるけど、
気分転換になって良かった時もある。
「はるかは?」
「経済日本史」
「日本史?わたしの嫌いなやつだ」
渚は昔からよく食べる。
小学校の初めての給食で、
一番におかわりをしていた。
どれだけ食べても太らない体質だと
本人が言っている。
羨ましい限りだ。
食べ終わったトレーを返却口に戻す。
「あっ、はるか今日何限おわり?カラオケ行かない?」
渚が今思いついたように聞いてきた。
「ごめん、今日バイトなんだ」
「そっか…じゃあまた今度ね」
うん。と、頷いた。