はるかと航平が顔を見合わせる。
「わたしいくつだと思う?」
「え?」航平が聞き返す。
「20後半?」とはるか。
「34!昨日で34!!」
開店早々、表に『準備中』の札を出し、
理子はショーケースの中のどら焼きを頬張る。
唖然とする2人を前に理子はまくし立てる。
「話があるって言われて、レストランに行ったの。付き合って初めて連れていってもらったレストラン。昨日誕生日だったから、もしかしてと思って着飾って、嬉しくて一人で舞い上がって。そしたら、その話って何だったと思う?」
何となくその先がわかる。
「別れ話よ!!」
盛大に鼻をかむ。
強く握りしめた平たいどら焼きは、
理子の手によって棒状に潰され、
あんが床に落ちている。
「はるかちゃん」
「はいっ」
いきなり名前を呼ばれ、つい、体育会系の返事をしてしまう。
「24時間やってる居酒屋探して」
「はいっ!」
「航平くん」
「はいっ!」
はるかの真似。
「車持ってるわよね?」
「はい!」
こうしてお店の電気を消し、暖簾をしまって
車で20分の24時間営業の居酒屋に直行した。